念願の逸品

よー子

以前から無性に欲しかったものをようやく手に入れた。

何が欲しかったって、信楽焼のたぬきが欲しかったのだ。

玄関先に信楽焼のたぬきを置いている家々を見て、ずっと憧れていた。

なぜこんなにも惹かれていたのかは分からない。私の中の大和魂がどうしても信楽焼のたぬきを求めていた。

『私も玄関先にたぬきを置きたい!!』そう切に願っていた。

だがどこで買おう?ネットでも売っているが、できればサイズ感やたぬきの表情も確認して購入したい。

そんなことを考えながらシャッター街と化しつつある通りを車で走っていたら、偶然にも老舗の陶器店を発見したのだ。

店先にはたぬきがちょこんと陳列されている。

『ここだ!ここで買うしかない!!』

私と夫は市営の駐車場に車を停め、シャッター街を小走りで進み陶器店へと向かった。

なおその日は偶然にもパチンコで勝ったあぶく銭を手にしていたので、“生活に直結しないけど欲しい品物”を買うには絶好のモチベーションであった。

陶器店には食器や仏具や壺などが並んでいた。どれもやんわり埃をかぶっている。だがそんなことは関係ない。たぬきが買えるのだから。

たぬきのサイズは3種類ほどあり、ポーズや表情も様々であった。

ちょっと大きめだと7,000円ほどするようで、あぶく銭を持っているくせに怯んだ。できれば5,000円以内で買いたい。その辺りが“生活に直結しないけど欲しい品物”を購入する際に夫婦で合意できる価格帯だ。

5,000円以内のたぬき達でも種類が様々で非常に悩んだ。大きな酒瓶を掲げているたぬきにしようか、とそのたぬきを選びかけたが、結果的には酒瓶は小さいものの、金玉が立派なたぬきの方を選んだ。

たぬきと一緒にぶたの蚊取り線香入れも買うことにし、店主のおじいさんに声をかけた。

すると、「え!?こんな2点も買ってくれるの!?」と大変驚愕され、500円割引サービスしてくれた。埃のかぶりようからいつぶりにたぬきが売れたのか大変興味があったが、無神経な私でもさすがに聞かなかった。

おうちに飾ってみると大変良い。非常に良い。

かわいすぎて外には出せないので、室内に飾っている。いや〜良い買い物をした。

このサイズでもとっても満足だが、いつかめちゃくちゃでかい信楽焼のたぬきも買いたい。その時は怯むことなく購入したいものだ。

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